これから始まる物語

私は部活の後、理科室に行くのが、日課になっていた。

あんなことされたけど、一生懸命に実験や研究している姿が見たいの。

洗い物くらいしかできることないけど、それでも紐緒さんのことが気になってるの。

それが友情なのか、愛情なのかは、分からないけど。



「虹野さん、これ洗って」

「うん」

渡されたビーカーやら、フラスコを洗う。



「紐緒さん、そろそろ5時よ、帰りましょう」

「そうね」

片づけを終わらせた私たちは、帰路についた。

「危ない!」

そう叫ぶと紐緒さんは、赤信号の道路に飛び出した!

その直後、私は無意識に紐緒さんの後を追った。

自動車にひかれそうな紐緒さんを道路の外へと追いやった。

その直後、私は自動車に足をひかれた。

「に、沙希!馬鹿よ、あなた!!」

そう叫んだ紐緒さんの腕の中には、子犬がいた。

助けとうとして・・・た・・・の・・・ね・・・

私は意識を失った。



-そして・・・



意識が戻って私は目を開けた。

紐緒さんが心配そうに見つめてた。

私の足は骨折したみたい。

「馬鹿よ、沙希。私が勝手に助けようとしたのに、追って来るなんて!」

「違うの、考えるより先に、足が動いていたの」

紐緒さんは私を抱きしめた。

「でも・・・そのおかげで助かったわ、本当にありがとう・・・」

「紐緒さん・・・

今回のことで分かったことがあるの」

紐緒さんに抱きしめられながら、ゆっくりと告げた。

「私は紐緒さんに恋愛感情持ってるの。紐緒さんはどう思ってるのか知らないけれどね」

抱きしめる腕に力がこもった。

「・・・好きよ・・・沙希・・・」

ああ・・・両想いなのね・・・

嬉しい・・・



「沙希・・・」 そうつぶやくと、唇を重ねてきた。



「あ!そういえば子犬は?」

「沙希のおかげで無事よ」

「よかった・・・」



私たちは、ここから始まった。